以前の投稿で ”今大会では会見(プレス)は一切しない” でお伝えした通り、プロテニス選手の大坂なおみ選手は全仏オープンでの会見拒否を自身のSNSで公にした。
それから4日後の5月31日、彼女は今大会への棄権を発表したのだ。
彼女は自身のSNSでこう語っている。「これは、数日前に投稿したときに想像も意図もしていなかった状況です。パリでの大会に誰もが再び集中できるように、大会やほかのプレーヤー、そして私自身とって、私が撤退することが最善だと思います。」
彼女のSNSでの投稿は こちら

この決断は考え悩み抜いた末の決断だと感じる。
彼女の文からもわかる通り、彼女の発言は全世界で話題になり取り上げられた。そして、それは彼女の思い通りに伝えられる事もあれば、彼女が思ってもいなかったような形になって伝えられる事もある。今回の発言に関して言えば、彼女の予想を遥かに超えた反響だっただろう。
今回の彼女の投稿はこれだけではなかった。
「もっと重要なことは、メンタルヘルスを軽視したり、この用語を軽く使用したりすることは決してないということです。真実としては、2018年の全米オープン以来、長い間、気分が落ち込むことがあってそれに対処するのに本当に苦労しました。…(中略) 私は今、少しの間コートから離れるつもりですが、しかるべき時が来たら私はツアーと協力して選手や記者、そしてファンのために物事をより良くする方法について話し合いたいと思っています。」
彼女が長い間、メンタルヘルスの問題を抱えていたのが分かる。
今回の発言で、「タイミングがベストではなく、内容ももっと明確にできたとして、大会側にも謝罪の手紙を書いた」と言っている。
私はこのことから、彼女はこのような状況でもしっかりと自分の状況・周りの状況を判断して最善の決断を下したと思う。以前の投稿にも書いたように、アスリートにかかる精神的な負担は想像ができないほど大きい。それは誰かに相談して解決できるものではない事も多くある。
特に大阪選手はここ数年、叩かれやすい状況にあったとも感じている。それは「BLM (Black Lives Matter)運動」を大会期間中に自身のマスクで訴えている時や、日本人選手として出場しているのにも関わらず、あまり日本語が話せない事に対してなど、彼女自身が起こした問題定義や人権運動から言いがかりの様な批判まで様々だ。

話は一転して、約1年前の2020年5月23日は何があったか覚えているだろうか。
当時人気だったテレビ番組「テラスハウス」に出演中だった プロレスラーの木村花さんが自らの手でこの世を去った。
そうだ。この問題もネットでの誹謗中傷が問題となって起こった出来事である。この場合はアスリートとしての活動の中で起こったものではないが、ネットという特殊な世界で一人の女性の命が奪われてしまった。

ここにも言いがかりの様な誹謗中傷が存在する。顔も性別も何もかもわからない画面の向こう側、もしくは画面の中の守られた場所でしか発言できない人たちの手によって人の命が奪われてしまう。それほど批判される人の心には届いてしまうし、顔が見られないからと言って何を言ってもいいわけではない。そんなのは小学生でも分かる事だ。
急激に発達したネット社会を規制するにも難しい部分がある。法律がおいつかない部分も多く存在するが、一番直さなければいけない所は法律ではなく私たち一人一人の心の問題なのではないだろうか。
もう一度この様な問題を考えるキッカケとなったら嬉しいです。